人が亡くなるとその人の所有していた権利と義務は相続人に引き継がれますが、この権利と義務を相続財産といい、遺産相続は被相続人の死亡日を起点としてスタートします。
3年前に相続税法が改正されるまでは余程の資産持ちでない限り、サラリーマンが自分の死亡後に相続人が遺産相続しても相続税を支払う状態になることを予想もしていなかった人が多かったはずです。
3年前に基礎控除を4割も削減した相続税法大改正
平成27年1月1日以降の相続分に対して相続税法の改正が行われて、基礎控除の非課税枠が4割削減されました。
具体的には改正前の基礎控除額は5000万円+1000万円×法定相続人の数でしたが、改正後は3000万円+600万円×法定相続人の数になったわけです。
日銀の統計資料によると個人金融資産が1850兆円もあり、その3分の2が高齢者の所有に関わっているということですから、基礎控除を4割削減する相続税法の改正はインパクトが大きかったはずです。
税法改正から3年経過したばかりですから、この税法改正によって新たに課税対象になる見込みの人が慌てて相続税課税対象額を減らす対策を講じている最中のはずです。
子や孫への財産贈与には非課税枠の最大利活用
中でも、子や孫への生前贈与を毎年励行したり、住宅取得資金や教育資金の贈与等の非課税枠利用対策を利用することが狙い目とみられています。
もちろん、こうした子や孫へ親の代からの資産移動が起これば子や孫の家計が豊かになり消費拡大につながることが期待されるので、政府の景気回復策の狙いと一致するわけです。
課税対象になる見込みの人が非課税枠利用対策を講じていることで課税対象者は一定数減少しているはずです。
それでも、改正前に課税対象者は相続件数の4%程度でしたが、改正後はこれが2倍以上になっているようです。
また、相続税の非課税枠としては基礎控除の他に生命保険金と死亡退職金にも夫々、500万円×法定相続人の数が適用されます。
最新情報の収集が必要な非課税枠の利活用検討
そこで、一定の資産を持っている被相続人が相続税の課税対象額を減らしておこうとするなら贈与税や相続税の優遇措置を上手く活用する必要があります。
但し、非課税枠や優遇措置等を利用するには税法上の様々な制約条件が設定されています。
しかも、遺産相続は消費者であればだれでも関係する機会のあることですからしばしば改正されています。
そこで、贈与税や相続税に関するセミナーに参加して自分のケースについて最新情報を収集しておくことが必要です。
消費者が贈与税や相続税に関わる非課税枠やその他の優遇措置等を利活用したければ税理士等、税の専門家の知恵を活用することが最も手っ取り早く、確実な方法です。
まとめ
3年前に相続税法の改正によって相続財産の基礎控除が4割も削減されました。
この改正前までのサラリーマンは自分の死後、子や孫に相続税のかかることを予想すらしていなかったはずです。
そこで、多くの人が慌てて非課税枠や優遇措置等を利用して贈与手続きにより子や孫へ財産を移動していますが、政府の景気対策の一環にもなっています。